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始めに、大勢の方々に力作を応募して頂き、有難うございました。
今回、募集の際に応募データの記入のお願いを明記していなかったようで、撮影の意図や、撮影データを書いて応募した人が、一人しかいませんでした。
審査する場合に撮影意図が表現されているかどうか、撮影データが適切かどうか等も審査要素として見るのですが、それがなかった為、撮影の技術や狙い方を推測しながら審査させていただきました。
審査のポイントは
@ ラリーという競技らしさが表現されているか?
A 「車の走り」「動き」が表現されているか。
B 大勢の参加者や観戦者が集まるイベントの緊張感や楽しさが表現されているか。
C イベントが行われた場所、時間、天候などの付加価値要素が表現されているか等を考慮して選考させて頂きました。
一人3点の応募と言う事で各1点ずつを選び、1次選考で12点が残りました。
近年のラリーは撮影場所の自由度が少ないので、同じような作品が多くなってしまうのは仕方がないのですが、そんな中、細かい所までこだわって撮影したものや、狙いの意図が明確な作品が最終的に選ばれました。
佐藤栄一さんの浅間山を意識した作品。大西崇文さんの広さだけでなく、奥行きも表現した作品。内藤さんの雨予想に反して陽が出、明るい空を意識したアングルは、絵作りとしては上手なのですが、ラリーという競技をどう撮るかの工夫が欲しかった。
松浦淳一さんの競技らしい迫力、田代さんの白煙を上げての走りと雰囲気描写、矢嶋さんの微妙な動きの表現、田村さんの思い切ったフレーミング等ですが、車に動きが少ない分、シャッター速度を下げてタイヤの回転で動きを強調する等の工夫が欲しかった。
小暮佑樹さんは流し撮りをきっちり決めていますし、鮎川一樹さんは、スピード感、動きの表現は、抑え気味のシャッター速度を使い見事に表現してくれました。ただ、背景の処理を工夫してくれれば、間違いなく最終3点の作品に残ったでしょう。市川直久さんの走りの写真は勘所を抑えた見事な作品ですが、特に縦位置で撮った流し撮りは、バックの木々を入れて流したのが成功で、スピード感十分でした。
そんな中、初めに明記した4つのポイントが満たされ、細かい所への気配りがなされている3点を入賞としました。
大賞は、薄暗くなった雨中の走りを邪魔になりがちな旗を上手く配し、イベントの雰囲気をも表現された蒔田亮子さんの作品に決まりました。
ヘッドライトが路面を綺麗に映し出し雨粒を表現、動きの少ない車の姿勢もタイヤが跳ね上げる水しぶきがいい役割を果たし、細かい所にもこだわった良い作品です。
モントレー賞には、これぞ走りの表現という児玉隆さんの作品。抑え気味のシャッター速度で背景を流し、コース状況がわからないのですが、フルターンを撮ったのか? 前のタイヤの回転とロックされた後ろのタイヤの対比も面白く、スピード感に溢れた作品です。ただ、旗が車と重なってしまったのは残念です。
もう一人のモントレー賞は、市川美佐子さんの作品。引き目の写真も多かった中、引き過ぎず、状況を理解できる程度にギャラリーを上手く配し、雰囲気を上手く表現しています。車の“動き”にこだわらず、どの位置に配するかということに気をつけたのではないかという絶妙なレイアウトで役者を配しています。
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講評 ラリーカメラマン 坂本 広志 |
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