フォトコンテスト 2019 審査結果発表

講評:坂本広志氏

講評:坂本広志氏

“雨のモントレー” まるでどこかの恋愛映画のタイトルか?

雨と霧に悩ませられたのは、エントリーしていたクルーだけではなく、遠路観戦に来た多くのラリーファン。ましてや撮影するとなれば気持ちも萎えてしまったのではないでしょうか。

そんな中、今回のコンテストも大勢の応募がありました。しかも、この雨や霧を上手く利用して表現の手段にしたあたりは、さすがに上級者というレベルの高さを感じました。まさに雨にも負けず……でした。

今回は一人3点以内という規定でしたが、ほとんどの人が3点の応募でした。前回までは各人1点を選び、そこから最終的な選考という方法をとりましたが、応募点数が徐々に増えて来た事もあり、今回はすべての作品をシャッフルして第1回目の選考をしました。撮影意図がどの様に表現されているか、いつも言うラリーらしさに加え、雨や霧にどの様な役割りを持たせているか、“走り”などの動きをどう表現しているかをポイントに選考しました。

ここで選んだ16点は、感性の豊かさと同時に撮影技術のレベルの高さを感じた作品です。

(順不同・敬称略)

この中には入っていませんが、Kick小沢さん、アマガイマモルさん、佐藤公一さん、松浦淳一さん、森 久仁彦さん、川端尋人さん、都丸尚輝さんの作品にも光るものを感じました。

16点の中には、絵作りの上手さを感じる作品が多くありました。岡村亨さん、黒沢吉彦さん、市川美佐子さん、小松祥平さんの2点は、背景を美しく処理した中にラリーらしさを表現し、大草和己さん、藤井耕一さん、市川直久さんの2点は、この日の条件でのラリーを見事に仕上げています。

天候を意識した浅田耕資さん、八城寛武さん、黒澤和美さん、佐藤良孝さんも良い作品に仕上げてくれました。

ここから絞り込むのは、正直言って苦痛にも感じる作業でしたが……

大賞

大賞「木々を縫って」
市川直久さん

大賞には市川直久さんの作品を選定しました。

「林道ステージでは観戦できないのですが、雰囲気のあるアングルを見つけました。少々登り、奥に林、手前に草むらと連写で3ショット撮れるかどうかのタイミングで、ちょっとシャッター速度を遅くしてクルマの手前の草を流してみました」と言うように、樹間を上手く利用して走り(動き)を表現し、何よりも緑の中を疾走する美しい作品です。オーソドックスな流し撮りですが、クルマのシャープさと適切なシャッター速度で流された樹々のブレ具合など基本の技術がしっかりしている証拠です。同じような作品も何点かありましたが、フレーミングがしっかりしているので安心して見ていられる作品でした。

優秀賞

優秀賞「スタート!」
黒沢吉彦さん

優秀賞「FR DRIFT !」
藤井耕一さん

優秀賞には、「朝のサービスを終えて出発していく競技車両に手を振る応援者、それに応える選手に、やっぱりラリーっていいなと思えた瞬間!」と、目の前のシーンを上手く切り取り、エントラントと観客の距離感を上手く表現している黒沢吉彦さん。ラリーの人気はこの辺りなのでしょうが、とっさの状況を的確にとらえた写真眼の勝利です。

もう一人の藤井耕一さんは「下りで86のドリフトを撮りたかった」という狙い通り、クリッピングポイントを舐めるように通過する86をキッチリと決めてくれました。シンプルですが迫力あるいい作品です。

最後まで迷ったのは、小松祥平さんの作品。応募してきた作品に「こんな表現もあったのか」と思う絵に描いたような不思議な世界、まるで映画のワンシーンを見ているような独特な感性を感じる作品でした。

今回、全体の作品を見ていて感じたことに、「もう1段か2段シャッター速度を落とせばよかったのに」と感じた作品があまりにも多く感じました。ブレなどを用心して速めのシャッター速度にするのでしょうが、動きを止めるのと、止まってしまうのは違うという事を考えて欲しいと思いました。

また、コメント欄では画面の状態は見ればわかるので、作者はどの様な状況の中、何を撮ろうとしたのか?という狙いを書いて頂きたい。それと、撮影データは忘れずに記入して欲しかった。

今回も天気の悪い中、多くの作品の応募をありがとうございました。 

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